日本ベトナム友好協会大阪府連合会

10.ベトナム人は世界でどのように見られているか

 大阪が現在のように衰退してしまった原因のひとつに、「東京とならぶ日本の二大中心のひとつ」という過去の栄光にしがみついて、東京に対抗することばかり考える大阪人の習性をあげることができます。恋愛なら「相手のことしか見えない」のが正しいありかたでしょうが、一般には特定の相手しか見ようとしない態度は、よい結果を生みません。

071223-71.jpg 国際交流でも、「ベトナムのことしか知らない」では、深い理解や交流はできません。だからといって、世界中のすべてを勉強するのは不可能ですから、ここではベトナム人が世界でどう見られているか、という話題を取り上げてみましょう。ドイモイ後はベトナムでも、それまでのウルトラ・ナショナリズムの反動で、国際標準に合っているかどうか、これでは外国から馬鹿にされるのではないか、といったことがらをすごく気にするようになりました。

 まず基本として、「アメリカをやっつけたベトナム人」に親近感をもち、「戦争の被害に今なお苦しむベトナム人」に同情する人は、世界中にたくさんいます。とくに1960年代に学生生活をおくったような世代。いっぽう、ベトナム難民に手っとり早い職業としてベトナム料理屋を始める人が多かったことなどから、料理やファッションなどへの関心が高いのも、多くの国で共通する事情でしょう。欧米や日本だけでなく、バンコク、シンガポール、香港などでも、おいしいベトナム・レストランを簡単にみつけることができます。


080102-32.jpg難民を含むベトナム人の向学心や成功の努力も、ひろく評価されている点でしょう。アメリカのコンピューター業界はベトナム人が支えているといわれた時期がありましたし、甲子園で活躍したベトナム人のピッチャーもいましたね。20世紀末に出現した新しい学問・思想潮流の代表格であるジェンダー(性差や男女関係のうち生物学的な面でなく社会的・文化的な側面)の研究や、映像情報を読み解く方法の研究は、日本の大学教育でもいまや定番ですが、そういう授業に出ると必ず、世界の先端をいく学者として、トリン・T・ミンハー(Trinh T. Minh Ha)という在米ベトナム人女性の名前を習うはずです。

 料理やファッションとならんで、音楽、美術、映画なども比較的知られていますよね。作曲家のチン・コン・ソンやピアノのダン・タイ・ソンは、日本以外ではそんなに知られていないのだと思いますが、ほかにも「アメリカで有名」「フランスで人気」などいろいろな芸術家がいるはずです。

これに対して、ロシア・東欧の旧社会主義国では、日本とは交流が少ないし中国とは対立していたので、東洋人イコールベトナム人というイメージが強いのだそうです。1980年代に経済援助の見返りに多くの労働力をベトナムから派遣し、社会主義解体後そのまま住みついた人が多い、という話はご存じの方も多いでしょう。

日本人の学者がロシアでベトナム人に間違われたという話はよく聞くし、チェコのプラハではかつて中華料理屋がほとんどなかったのが、社会主義解体直後に多数出現したがそれはベトナム人が開いたもので、最近やっと「本中華」の料理屋が出現したそうです。モンゴルのウランバートルでたくましく商売しているベトナム人の話を、モンゴルに留学していた知人から聞いたこともあります。東欧ではそういうたくましさゆえに、外国人に反発するネオナチの標的にされていると言われますね。アメリカでは逆に、難民の一部がチャイニーズ・マフィアの下請けをしているとかいう話もあります。

思考・行動様式については、言いにくいのですが、ベトナム人について「プライドが高い」「他人の話を聞かない」という点で、世界の意見はだいたい一致するように思います。「客の注文より自分の好みを押しつけようとする食堂のおばちゃん」などはかえって親しみがわくかもしれませんが、かつてカンボジアに攻め込んでポル・ポトというウルトラスーパー悪玉を成敗した行動が、あれほど世界のひんしゅくを買ったのは、「米中日支配層の陰謀」があるにせよ、アメリカと闘う際には世界中が応援してくれたのだから、今度も世界はわが国を支持するにちがいない、という思い上がった態度がわざわいした部分も無視できません。

1980年代までは、タイなどのASEAN諸国でベトナムはとても評判が悪かったのですが、それは当時のASEANの反共主義のせいだけではありません。当時は漢字文化圏諸国が誇る仕事の正確さとか高い技術水準をもっていないし、ご都合主義で言うことを変えるくせに、なんでも自分の国の文化が一番、つねに上下関係ばかり考えて非漢字圏(箸でなく手で食事をするような文化圏)は野蛮人と軽蔑する、といった態度が反発を買ったのだと、他人事ながら思わざるをえませんでした。どう見ても熱帯では不合理な土間の家を、東南アジアで一般的な高床式の家より「文明的」だと信じて疑わないなど、悪口をいって申しわけないのですが、「ベトナムの常識は世界の非常識」と言いたくなるようなことがらは、今でも少なくありません。
ところが憎めない。やめられない。世界中で多くの人がそう言っています。このベトナムの不思議な魅力はなんなのでしょう。

 むずかしい話や悪口をたくさん書きました(ホーおじさん、ごめんなさい)。相手の良いところや自分に都合のいい点だけしか見ないのでは、国際理解・国際交流にならない、これは私の信念です。読者の皆さんの発想の転換や複眼思考のための、刺激になればさいわいです。似たような中級用課題は、「ベトナム人のお箸の使い方は日本人と同じか?」「ベトナム人は日本で出される弁当をどう思っているか?」「ベトナム人はいつも一家揃って食事するか?」「ベトナム料理はヘルシーってホント?」「ベトナム人の家族は大家族だというのは本当か?」など、たくさんあります。みなさん、調べてみませんか。

 ベトナムについて書きたいことはまだ山ほどあるのですが、今回の連載はこのへんで。ご愛読ありがとうございました。

Xin kinh chao tam biet.

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