日本ベトナム友好協会大阪府連合会



1.ベトナムとヴェトナム、どちらのカタカナが正解?

高校の世界史教科書に「ヴェトナム」と書いているものがあり、商売柄よく「ベトナム」は間違いではないかと問い合わせを受けます。

ベトナムはローマ字でViet Nam(英語はVietnam)と書きますよね。このごろ高校教科書などではVをBと区別して「ヴ」と書くことが多くなったので、「ヴェトナム」という表記が出てきたのですが、よく考えてみましょう。Vの後ろにあるのは「ie」という二重母音です。

だから日本の外務省は長い間「ヴィエトナム」と書いていたのですが、たぶん「こんな書き方は知らない人に読みにくいだけだ」と考えて、数年前に、一般的な「ベトナム」に変えました。

ちなみにロシア語にはE(イェー)という「軟母音」(二重母音ではない)があり、昔はそれを受けてカタカナでも「ソヴェト連邦」などと書いていたので、それにならえば「ヴェトナム」なのですが、ベトナム本国ではロシア語のような硬母音と軟母音という区別をしませんし、今は日本でも「ソヴィエト」と書きます。

そのうえ、「ヴィエトナム」でも実は無意味なのです。ベトナム語のA音には長く伸ばす母音と短い母音の2種類あり、これを区別しなければ通じません。Namのaは長い方です。またVietのtは口の形だけで発音しませんから、「ヴィエッナーム」という感じになります。しかしそれでもベトナム語の声調を表すことはできませんから、やっぱり通じないでしょう。

そうです、日本語の発音はとても単純ですから、カタカナでいくらがんばっても、あのベトナム語の複雑な発音を正確に表すことはできないのです。それなら、日本人には発音できない人がおおぜいいるV音にこだわって、だれにも通じない「ヴェトナム」の表記をするより、易しい「ベトナム」でいいんじゃないでしょうか。ほかにも地理や歴史の教科書には、生かじりの現地語主義で妙ちくりんなカタカナをならべ、生徒を勉強嫌いにしている例が多すぎます。「木を見て森を見ず」。日本人の悪いクセです。 (続く)