日本ベトナム友好協会大阪府連合会/なんでもベトナム・雑学エッセイ16

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第16話 ベトナム語のなかの中国語

 ベトナムはもともと漢字文化圏に属していましたから、日本と同様に多数の漢語(漢越語)を使います。ベトナム語を習いはじめると、じきにそれがわかるのですが、ただし、日本で使われていない漢語も少なくありません。その場合、外大の卒業生でもそれが漢語だということを気付かずじまい、というケースが見られます。
 たとえばパスポートをホーチエウ(hộ chiếu)といいますね。あれは中国語の「護照」からきています。ホテルの意味のカックサン(khách sạn)は、中国語の「客桟」です。ただし「客桟」は底辺労働者用の「ドヤ」のようなものですので、元来は「ホテル」とちがうニュアンスの単語でした。「護照」も「客桟」も19世紀に普及した中国語です。

 労働者の意味のコンニャン(工人công nhân)、ストライキの意味のバイコン(罷工bãi công)、国連の意味のリエンホップ・クオック(連合国liên hợp quốc)などは、漢語だときづかないことはないでしょうが、日本では使わなかったり、意味がちがいますね。ものごとが終わる意味のケットゥック(結束kết thúc)も、日本だけが別の意味で使っている代表的な例です。このように、近代以降に中国で作られた単語に、ベトナムには伝わったけれども日本は別の漢語を作った、というものがよく見られます。
 固有名詞ですが、ベトナム語でアメリカ合衆国のことをミー(Mỹ)とかヌオック・ミー(nước Mỹ--ヌオックは「国」の意味)と言うのは、ご存じのかたも多いですね。でも、これはなぜだかわかりますか。これも中国語でアメリカ合衆国を「美国(亜美利加の略)」と呼ぶのにならったものです。フランスのファップ(Pháp)は「法国(法蘭西の略)」、ドイツのドゥックĐứcは「徳国」、ロシアのガーNgaは「俄国」、みんな中国語から来ています。

 近代以前からある漢語(中国語)でも、日本人が知らないものがあります。ベトナム語で大学生をシンヴィエン(sinh viên)、大卒者(学士)をクーニャン(cử nhân)、博士号取得者をティエンシー(tiến sĩ)といい、もともとは王朝時代の高級官僚の登用試験である「科挙」の、各段階の合格者をさすことばでした。日本は中国の科挙試験の制度を受け入れなかったので、これらの単語をふつうの日本人は知らないのですが、ベトナムの場合、社会主義政権になっても、こういう王朝用語の応用が使われつづけているのは、おもしろい現象だと思います。

 いかがですか。ベトナム語を習うまえに中国語を習っておくと、声調の練習ができる(ベトナム語は6声調あるのでむずかしいが、中国語は4声調なので簡単)だけでなく、単語の意味を理解するうえでも有利なことが、おわかりいただけたでしょうか。

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