日本ベトナム友好協会大阪府連合会

ベトナム人の日本語を理解する方法 1   

「オーシン」とはだれのことでしょう?そう、ベトナムで放映されて大人気だった「おしん」のことです。  
日本語を学ぶベトナム人は、ホーチミン市では一万人をこえるといいます。日本の大学に留学して文化や歴史の卒業論文、博士論文をりっぱな日本語で書く人も出てきました。しかし、日本人が英語のlとrの区別 、aとtheの使い分けで苦労するように、ベトナム人も日本語を学ぶさいにうまくできない点がたくさんあります。それは漢字や敬語、アクセントだけではありません。通 訳さんの日本語がわからなかった、こちらの日本語を通訳さんに理解してもらえなかったといった経験をされた会員は多いでしょう。
 
しかし怒ってはいけません。正確な日本語や英語を話せる外国人としかつきあわないのでは、国際化とはいえません。ベトナム人にとって日本語はどこが難しいか、どこがまちがいやすいかを知っていれば、あの日本語はかなりわかるのです。そのポイントをいくつか紹介しましょう。
 

1.後藤さんは強盗さん  

ベトナム語を習ったかたはごぞんじのとおり、ベトナム人は「音節」を単位として発音をしますが、音節の中心になる母音の大部分は、単独の母音でも二重母音や半母音+主母音の組み合わせでも同じ長さで、声調をつけるために日本語の母音より長く発音されます(関西弁の「木い」「目え」などの発音に近い)。
 
その結果ベトナム人にとって、OSAKAはOとSAとKAという同じ長さの三つの音節と認識され、カタカナで忠実に書けば、「早口でオーサーカーと発音する」感じになります。OSHINは同じ長さのOとSHIN(つづけて発音すればオーシン)に分かれます。単独の母音でも二重母音でも同じ長さですから、後藤と強盗はベトナム人にはどちらもゴートーです。埼玉 はサイ・ター・マーです。
 

2.英語が通じない  

ベトナム人が音節の終わりにくる子音で発音できるのはm、n、ng、nhなどに限られます。c、ch、p、tで終わる発音はごぞんじのように口の形だけで発音しません。ところが日本語のような、子音で終わる外来語に勝手に母音をつけたして発音する習慣はありません。そこで、カール・マルクスはカーック・マーック(クは口の形だけ)になってしまうし、ファシストはファッシッとしか発音できません。ビル・クリントンはビーン・クリーン・トーンです。純粋な日本語よりも、外来語がおたがいに通 じないことがよくあります。
 

3.チュチュミさんとジャスコさん

ほとんどの外国人が日本語の「つ」の発音ができません。ベトナム人の場合は「ちゅ」か「す」になります。堤さんが大の大人に「ちゅちゅみさん」と呼ばれても、怒ってはいけません。またベトナム人は、「ざ、ず、ぞ」と「じゃ、じゅ、じょ」「や、ゆ、よ」の区別ができないことがよくあります。留学生のヤスコさんはジャスコさん、八尾先生はジャオさんやザオさんにされることがありました。北部の人はyが頭に来る発音が苦手で後ろの母音と分けてしまうので、八尾さんを苦しそうにイー・アー・オーと呼ぶベトナム人がよくいました。    
 

ベトナム人の日本語を理解する方法2 

4.日本語は長すぎる

日本語の発音の単純さが、かえってベトナム人を苦しめます。ちょっと脱線して聞き取りの話をしましょう。
 
ベトナム人はrとlが区別できます。ところが日本人の「らりるれろ」の発音は、rで発音する人、lで発音する人、どちらでもないあいまい音で発音する人などいろいろですから、ベトナム人にはAさんの「らっぱ」とBさんの「らっぱ」とCさんの「らっぱ」が全部ちがう単語に聞こえて困ってしまうようなことがあるのです。
 
ベトナム人の日本語発音の話にもどって、日本語は発音が単純で音の種類がすくないため、単語も文も長くなりがちな点が、ベトナム人には地獄です。たとえばベトナム(キン族)の姓名は、ふつうは3音節、どんなに長くても5音節です。日本式に発音すると8音節にもなるグエン・マイン・カム(外相)という名前も、ベトナム人には3音節でしかありません。ところが日本人の名前は、「モモキ・シロー」でもベトナム式にかぞえて5音節、「サカキバラ・マサヒコ」(9音節)なんていう名前を言われると、ベトナム人には「鈴木四郎左右衛門重兵衛光久」とかなんとか言われてる気がして、なかなか覚えられないし、そもそも正確に発音するだけで一苦労です。日本人とちがってどんな音の組み合わせはありえないかも知らないわけですから、いったんまちがうとどうしようもありません。
 
サカキバラさんがサカバキラさんやサキチバラさんにされるのが絶対いやだったら、「サカと呼んでくれ」というように、略称を教えておいたほうがいいかもしれません。

ベトナム人の日本語を理解する方法3 

 つぎは、単語や文法の問題にいきましょう。これは、あげるときりがないのですが、ベトナム語と日本語はこの面でもひどくちがいます。中国語も日本語と文法がかなりちがいますが、中国人は漢字を知っているから日本語をとっつきやすく感じます。ベトナム語もたくさんの漢語を共有しているのに、漢字教育を廃止してしまったためにたいていのベトナム人が、日本語のなかでも漢字の勉強を苦痛に感じます。また、文法面でも似た点があるのですが、日越両国とも西洋中心主義がまだ根強く、アジアのことば同士の共通 点が教室でうまく説明されていないように思われます。
 
 では、ベトナム人がうまく使えない単語・文法をいくつか紹介しましょう。
 

5.「的」がない  

 まずは漢語から。
中国語と日本語で意味がちがっている漢語がけっこうあることは、わりあい知られています。その場合、ベトナム語ではたいてい、中国語とおなじ意味でその単語を使います。そこでベトナム人が日本語で、なにかが「結束しました」といったら、一致団結したのではなく終わったのだと思ったほうがいいかもしれません。  
 
 それから、形容詞や副詞をつくる「○○的」という表現はベトナム語のなかの漢語には使われませんから、「人間の感情(人間的な感情)」などとなりがちです。「可能的」など、いらない「的」をつけてしまうこともあります。 もうひとつ、日本語では「大阪大学文学部助教授桃木至朗」のように組織名・肩書き・名前をずらずら並べて書き、発音しますが、この習慣がベトナムの日本語教育機関ではほとんど教えられていないため、所属を尋ねると「ハノイ国家大学の、社会科学と人文科学大学の、にーほん(日本)学部」とか「アジアと太平洋研究所の所長」など、助詞を補ってかえって日本人にわかりにくくしてしまうことがよくあります。

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