日本ベトナム友好協会大阪府連合会

 

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第5話 ベトナムに砂漠がある?
 

 気候のことに、話を戻します。
 ベトナムにはモンスーン(季節風)がありますね。そこでベトナムの北部が熱帯ではないことを知っている人でも、南部の気候については「熱帯モンスーン気候」と書いてしまった人がたくさんいます。しかし、高校の地理の教科書で確かめてもらうとわかるのですが、熱帯でモンスーンがあればすべて「熱帯モンスーン気候」というわけではないのです。
 
 ホーチミン市あたりでは、12月から4月ごろまでが乾季であることをご存じの方は多いでしょう。その間はとても雨が少なく、2月の平均雨量はわずかに3ミリ程度です。その時期にクチのトンネルに観光に行かれた方は、ずいぶん乾燥した風景だと感じられませんでしたか。
 
 ホーチミン市から国道1号や統一鉄道で東北にむかい、南中部(中部沿海地方)に入ると、乾季がもっと長くなります。チャンパ王国末期の遺跡がある、ファンティエット、ファンランなどの地域は、雨季が3か月、年間降水量が700ミリといった東南アジア有数の乾燥地帯です(ホーチミン市の年間降水量は約2000ミリ、日本列島のほとんどは1000~2000ミリ)。以前に大阪府連で上映会をした『黒いサボテン』という映画はこの地域が舞台で、荒涼たる砂漠同然の光景、雨乞いの儀式などをご記憶の方もあるでしょう。
リゾートで有名なニャチャンも、ずいぶん乾いた土地です。このあたりはタンロン(ドラゴンフルーツ)の産地ですが、あれはサボテンの仲間ですよね。
 
 このように、はっきりした乾季がある気候を「サバナ気候」といいます。アフリカでシマウマやチーターが走っている草原と、おなじ気候です。ベトナム南部からカンボジア・タイの平野部一帯は、ほぼサバナ気候です。これに対し、一年中かなりの雨が降るけれども季節風の影響で降り方に差が出る気候を「熱帯モンスーン気候」といい、ベトナムでは南中部の北寄り、クイニョンとかダナンなどの地域がこれにあたります。
 

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Vietnam2006 (31).JPGタン・ロン(ドラゴンフルーツ)
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強烈な乾燥が問題になる地域がもうひとつあります。それはフエから17度線をこえて北方につづく北中部です。
 たとえばフエは、年間降水量2900ミリという、ものすごい多雨地帯で、どこが乾燥地帯か、と思われがちです。ただ、このへんは山が海にせまっていて平野が狭く、川はどれも急流です、そこに大雨が降る雨季(フエでは9月~1月ごろ。10、11月の月間雨量は600ミリ台!)は、いたるところで洪水がおこります。ふつう稲作は雨季にするのですが、北中部で洪水をさけて雨季にイネがつくれる場所は、きわめて限られます。ちなみに月平均気温は20度を切らないのですが、12月~1月ごろは雨が多く、けっこう冷え込みます。
 
 そこで、乾季に稲作をしなければなりません。北部や北中部には伝統的に、雨季が終わったあとに、標高が低くて水が残っている土地にルア・チエムとよばれるイネを植える方法があって、2月ごろに田植えをして6月から7月ごろに刈り取ります。フエなら月間雨量は最低の4月でも約50ミリあるので、ルア・チエムが栽培できそうです。
ところが、南西のモンスーンが強くなる6~7月ごろに、北中部ではよく強烈なフェーン現象がよくおこります(南西の風がラオス国境のチュオンソン山脈をこえるためです)。ベトナム人が「ラオス風」とよんでおそれるこの暑く乾いた風によって、刈り取り間際のイネがしばしば壊滅します。
また、直線的にのびる北中部の海岸線には、砂丘が発達しています。内陸からフェーン現象、海側からは砂丘の拡大。北中部の狭い平野の農民は、ほんとうにたいへんです。フエ(私はベトナムの奈良とよんでいます)に限らず、北中部の風景はとても美しいのですが、気候はハノイよりもっととんでもない、おそるべききびしさなのです。
 
 ホーおじさんの故郷で、ほかにも革命家を輩出したゲアン省も、北中部の一角にあります。明らかに、この気候のきびしさと農業生産力の低さが、革命運動発展の背景にあります。
 

次回予告:「ベトナムの村は昔の日本の村とそっくり?」 お楽しみに。

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